第3回テーマ
大分のいま・これから
2018年9月15日(土)
講師:大分合同新聞社 特別顧問論説委員 神足博美さん
大分の歴史は人口増加の歴史だった。人口減で暮らしが変わる?(神足博美)
「新産都」「一村一品」「テクノポリス」―。大分は人口の増加とともに発展してきましたが、いま、過去に経験したことのない人口減少の時代を迎えています。推計ではピークの約128万人(1955年)から、約20年後には100万人を割り95万5000人(2040年)へ。地域と暮らしが大きく変わると予測されています。J:COMホルト塾では、これまでの人口と暮らしの歴史をたどり、大分の「いま」「これから」を考えます。
Q. 大分は「人口減少時代」迎えているのでしょうか?
A. 大分、というよりは日本全体が人口減少の時代を迎えています。世界の歴史は人口増加の歴史ですが、いまも、世界の人口が増加を続ける中で、日本の人口が減少しています。大分県は、現在の約115万人が2040年には約95万人となり、さらに2060年には約76万人になると推測されています。
しかも、ただ人口が減るだけでなく、生産年齢人口とされる若者の比率が急速に減少する構造変化を伴っています。歴史をたどると、世界では、18世紀の産業革命、日本では“文明開化”とされる明治維新、大分では工業化がスタートした新産都建設など、経済発展と人口の増加は深くかかわっています。人口増加を前提とした社会が変化を迫られています。
Q. 人口減少の影響は、社会に及んでいるのでしょうか?
A. 社会の動きから、さまざま影響が出ていることが見えてきます。今年の就職事情は売り手市場とされていますが、これは若者の不足、つまりは人口減少が背景にあると思われます。バスやJRなど公共交通機関の減便や廃止が相次いでいるのも、地域の住民が少なくなり、採算が取れなくなったことが大きな原因です。小中学校の統廃合は子どもの人数が少なくなったからです。年金、医療など福祉をどうするか、と問われているのも、人口減少が原因にほかなりません。
極端に言えば、いまの社会のままでは、10人でやっていた仕事を、5人や7人の少ない人数でやることを迫られるのが人口減少の時代。これから社会はどのように変化していくのか、人口減少は「いま、そこにある危機」になりつつあるのです。
参加者へメッセージ
最近、「人口減少」という言葉をよく耳にします。人口増加とともに、発展してきた日本がいま、過去に経験したことのない人口減少の時代を迎えています。大分も同じように、県人口の減少が進み、地域と暮らしが大きく変わると言われています。人口が減少すれば、どうなるのでしょうか。J:COMホルト塾では、人口減少時代を迎えた大分の「いま」と「これから」を考えます。